「ゲーミングPCがうるさい」と一言で言っても、鳴っているものは1つではありません。ここを分けずに掃除やファン交換から始めると、直らないまま手間だけがかかります。
たとえば負荷をかけたときの「ジー」という高い音。これはファンではありません。掃除しても、静音ファンに替えても消えません。原因も対処もまったく別です。
この記事では、まず音の種類で切り分けてから対策するという順番で整理します。
先に結論
- 低い風切り音なら正常です
- ファンが回っているだけです。うるさいと感じるなら温度を下げれば静かになります
- 高い電子音ならコイル鳴きです
- 故障ではありません。冷却をいくら改善しても消えないので、切り分けを間違えないでください
- 異音があるなら別の話です
- カラカラ、ジジジ、ポコポコといった音は、ファンの軸や水冷ポンプの問題を示していることがあります
- 温度を測ってから動いてください
- 85℃までなら正常範囲です。数字を見ずに対策を始めると、何が改善したのか分かりません
まず、どの音が鳴っているか
音の性質で原因はかなり絞り込めます。
| 音 | 鳴っているもの | 対処の方向 |
|---|---|---|
| ゴーッ/ブォーン(低く連続) | ファンの風切り音 | 温度を下げる |
| ジー/キーン(高く細い) | コイル鳴き | fpsを制限する |
| カラカラ/ジジジ(断続) | ファンの軸やケーブル干渉 | 現物を確認する |
| ポコポコ/シャー | 簡易水冷のポンプや気泡 | 設置向きとポンプを疑う |
| カリカリ(アクセス時) | HDD | 正常。SSDに移すと消える |
- 音の大きさより、高さで判断してください
- 低い音はほぼ空気の流れです。高く細い音は電気的な振動で、まったく別の現象になります
- 負荷との連動を見てください
- ゲームを起動して数十秒たってから大きくなるならファン(熱の伝わりに時間差があります)。画面が切り替わった瞬間に鳴くならコイル鳴きです
- ケースを開けて耳で追うのが確実です
- 電源を入れたまま側板を外し、どのあたりから鳴っているかを確認します。GPU、CPUクーラー、電源、ケースファンのどれかに絞れます
- スマートフォンの録音も有効です
- 修理やサポートに相談するとき、音を伝えられると話が早く進みます
「ジー」という音はコイル鳴きです
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。
- 電源回路の部品が振動している音です
- コイルやインダクタ、コンデンサに高い周波数の電流が流れると、部品自体がわずかに振動します。それが可聴域に達したものがコイル鳴きです
- 故障ではありません
- 性能にも寿命にも直接の影響はありません。品質の高い部品を使っていても、共振する条件が揃えば鳴きます
- フレームレートに比例します
- 負荷が高いほど、そして描画するフレーム数が多いほど鳴きやすくなります。メニュー画面のように軽い場面で数百fps出ているときに、いちばん大きくなることがあります
- だからfpsに上限をかけると減ります
- ゲーム側の設定か、垂直同期、あるいはドライバ側でフレームレートの上限を設けてください。これがいちばん現実的な対処です
- グラフィックボードと電源の組み合わせでも変わります
- 同じGPUでも電源を替えると鳴かなくなることがあります。相性の問題として報告されています
つまり、コイル鳴きに対して掃除・ファン交換・グリスの塗り直しは効きません。冷却を改善しても消えない高音があるなら、そこで作業を止めてfpsの設定に移ってください。
フレームレートの上限設定についてはゲームのカクつき・画面のズレを直す設定でも扱っています。上限をかけると発熱と消費電力も同時に下がるので、コイル鳴き以外の面でも効果があります。
なお、コイルに接着剤を流し込んで振動を止める方法が紹介されることがありますが、メーカー保証は失効します。おすすめしません。
温度の目安を先に知っておく
ファンの音が問題なら、次は温度です。感覚ではなく数字で判断してください。
| 状態 | CPU | GPU |
|---|---|---|
| アイドル(ブラウザ程度) | 30〜50℃ | 30〜50℃ |
| ゲーム中(正常な範囲) | 60〜85℃ | 60〜85℃ |
| 性能が落ち始める | 95〜100℃ | 約90℃ |
- 85℃までは慌てなくて構いません
- 高負荷時にこの範囲に入るのは設計どおりです。うるさいと感じるかどうかは別問題ですが、故障の心配はありません
- 上限に達すると自動で性能を落とします
- サーマルスロットリングと呼ばれる保護機構です。CPUは95〜100℃、GPUは約90℃で電力供給が絞られます
- 常態化しているなら対策してください
- ゲーム中にCPUが95℃以上、GPUが90℃以上に張り付くようなら、冷却が追いついていません
- 測り方は性能計測の記事にまとめました
- モニタリングソフトで温度とクロックを同時に見ると、性能が落ちている瞬間が分かります。詳しくはゲーミングPCの性能を測るをご覧ください
温度が上限に張り付いてクロックが下がっているなら、それは冷却の問題です。逆に温度が80℃前後で安定しているのにフレームレートが伸びないなら、原因は別のところにあります。
対策は効果の大きい順に
音と温度が分かったら、ここから対策です。順番に意味があります。
- 1. フレームレートに上限をかける
- いちばん手軽で、いちばん効きます。240fps出ているゲームを144fpsに制限するだけで、発熱もファン音もコイル鳴きも同時に下がります。上限があるタイトルの一覧はfps上限があるゲーム一覧にまとめました
- 2. 画質設定を見直す
- レイトレーシングを切るだけで負荷が大きく変わります。どの設定が重いかは画質設定はどれを下げるべきかで順位付けしました
- 3. ファンカーブを調整する
- マザーボードのユーティリティやGPUのツールで、温度に対する回転数の上がり方を設定できます。低温域でいきなり回転が上がる設定になっていると、体感の騒音が大きくなります
- 4. ホコリを掃除する
- フィルターとヒートシンクのフィンが最優先です。手順と頻度は掃除・メンテナンス完全ガイドにまとめています
- 5. 置き場所を見直す
- 床置きはホコリを吸い、壁への密着は熱を吸い直します。ゲーミングPCの置き場所で詳しく扱いました
- 6. 冷却パーツを強化する
- ここまでで改善しない場合です。CPUクーラーの交換、グリスの塗り直し、ケースファンの追加が候補になります
順番が大事なのは、1と2が無料で即座に効くからです。パーツを買う前に、設定でどこまで下がるかを確かめてください。
パーツを替えるなら
- CPUクーラーの交換
- 空冷と簡易水冷の選び分けはCPUクーラーの選び方にまとめました。静音を狙うなら、大きなヒートシンクに大口径ファンという構成が有利です
- ケースファンの追加
- 1つの端子に何個まで繋げるか、分岐やハブの扱いはケースファンは1つの端子に何個までで扱っています
- ケースそのものの見直し
- 吸気経路が弱いケースは、ファンを足しても限界があります。PCケースの選び方をご覧ください
- グリスの塗り替え
- 2〜3年に1回が目安です。高温が続いていて掃除でも改善しないなら、乾いている可能性があります
異音がするときは故障を疑う
ここまでは「うるさい」の話でした。以下は性質が違います。
- カラカラ、ジジジという断続音
- ファンの軸受けが劣化しているか、ケーブルが羽根に当たっています。まずケースを開けて、ケーブルが触れていないかを確認してください。経路のまとめ方はケーブルマネジメントの選び方で扱っています
- ポコポコ、シャーという水の音
- 簡易水冷で冷却水の中に気泡が回っている音です。設置の向きによっては常時鳴ります。ポンプの劣化と見分ける方法は簡易水冷が壊れかけるとどうなるかにまとめました
- ファンが全開のまま画面が消える
- これは冷却の問題ではなく、GPUかドライバ側の症状です。ゲーム中に黒画面になりファンが全開になる原因で切り分けを扱っています
- 電源を切ってもファンが回り続ける
- マザーボードの設定やErP関連です。シャットダウン後もファンやLEDが消えない原因をご覧ください
ゲーミングノートの場合
ノートPCは小さな筐体に高性能パーツを詰め込んでいるぶん、構造的にデスクトップよりうるさく熱くなります。
- 底面の吸気をふさがないでください
- 底面から吸気するモデルが多く、布団やひざの上に置くと一気に熱がこもります。硬い机の上で使い、冷却台で底面を浮かせるのも有効です
- 動作モードを使い分けてください
- メーカー製ユーティリティで静音モードに切り替えると、性能と引き換えにファン音を抑えられます。軽いゲームや普段使いなら静音モードで十分です
- 分解掃除は慎重に
- 内部清掃には分解が必要で、保証が切れる場合があります。吸排気口の外側からのエアダスターまでにとどめ、それ以上はメーカーに相談してください
- そもそもの余裕が違います
- 静音性を最優先するなら冷却に余裕のあるデスクトップのほうが有利です
よくある質問
Q.ゲーミングPCから「ジー」という高い音がします
A.コイル鳴きの可能性が高いです。電源回路のコイルやコンデンサが高い周波数の電流で振動する現象で、故障ではありません。性能や寿命にも直接の影響はありません。ファンの音ではないため掃除やファン交換では消えず、フレームレートに上限をかけるのがいちばん現実的な対処になります。
Q.ゲーム中のCPU温度は何度までなら大丈夫ですか?
A.60〜85℃なら正常な範囲です。アイドル時は30〜50℃が目安になります。CPUは95〜100℃、GPUは約90℃に達すると保護機構が働いて性能を落とすため、ゲーム中に常時この温度へ張り付くようなら冷却が追いついていません。
Q.ファンがうるさいのは故障ですか?
A.多くは熱を冷やすための正常な動作です。ただしカラカラ、ジジジといった断続的な異音がする場合は、ファンの軸受けの劣化かケーブルが羽根に当たっている可能性があります。ケースを開けて現物を確認してください。
Q.いちばん効果のある対策は何ですか?
A.フレームレートに上限をかけることです。無料で即座に効き、発熱とファン音とコイル鳴きが同時に下がります。240fps出ているタイトルを144fpsに制限するだけでも体感が変わります。次に画質設定、特にレイトレーシングの有無が大きく効きます。
Q.掃除しても静かになりません
A.音の種類を確認してください。高く細い音ならコイル鳴きなので、掃除では原理的に直りません。低い風切り音のままうるさいなら、温度を測って85℃を超えているかを確認します。温度が正常なのに気になる場合は、ファンカーブの設定が低温域から回りすぎている可能性があります。
Q.水の音のような「ポコポコ」がします
A.簡易水冷の冷却水に気泡が回っている音です。設置の向きによっては常時鳴ることがあります。ただしポンプの劣化でも音が変わるため、温度が以前より上がっていないかもあわせて確認してください。
Q.静かなゲーミングPCにするにはどうすればいいですか?
A.順番があります。まずフレームレートの上限と画質設定、次にファンカーブ、そして掃除と置き場所です。ここまで無料でできます。それでも足りない場合に、CPUクーラーの交換や静音ケース、静音ファンを検討してください。パーツを買う前に設定でどこまで下がるかを確かめるほうが確実です。
Q.ゲーミングノートがうるさいのは仕方ないですか?
A.構造上デスクトップより不利ですが、対策はあります。底面の吸気を確保する(布団やひざの上で使わない)、冷却台で浮かせる、メーカー製ユーティリティで静音モードに切り替える、の3つが基本です。それでも気になる場合は、そもそもデスクトップのほうが冷却に余裕があります。
まとめ・次に読みたい記事
うるささへの対策は、音を分けるところから始まります。
低く連続する音ならファンで、原因は熱です。温度を測って85℃を超えているかを確認してください。高く細い音ならコイル鳴きで、これはファンではありません。掃除しても静音ファンに替えても消えないので、fpsの上限設定に切り替えてください。カラカラやポコポコといった異音は、また別の話になります。
温度の基準も持っておいてください。ゲーム中の60〜85℃は正常です。CPUが95〜100℃、GPUが90℃前後になると自動的に性能が落ちるので、そこが対策の分かれ目になります。
そして対策の順番です。フレームレートの上限、画質設定、ファンカーブ、掃除、置き場所、パーツ交換。上の2つは無料で即座に効きます。パーツを買うのは、そこまで試したあとで構いません。



