メモリ選びは長いあいだ「16GBか32GBか」という容量の話でした。

2026年はそこに条件がひとつ増えました。同じ32GBにするのに、どこで買うかで数万円変わります。市販の2枚組が3万9,980円から買える一方で、増設料金として8万2,500円を請求するメーカーもあります。最初から32GBが標準で付いてくるBTOもあります。

容量の基準は変わっていません。変わったのは、その容量にたどり着く経路のほうです。

先に結論

容量は32GBを目標にしてください
16GBでも多くのゲームは動きますが、2026年の主要タイトルでは余裕がなくなってきました
どこで32GBにするかを比べてください
最初から32GBの店、注文時に安く上げられる店、市販品を自分で挿したほうが安い場合。ここで数万円動きます
2枚組で買ってください
4スロットあっても、2枚で埋めるのが基本です。後から2枚足すのは避けてください
8GBは選ばないでください
価格が上がっているからと落とすと、買い替えのサイクルが早まります

容量の基準

まず容量です。ここは考え方が単純で、「多いほど速い」のではなく「足りているか」で判断します。

8GB — 選ばないでください
ゲームとブラウザを同時に開くだけで不足します。これから買うPCの選択肢には入りません
16GB — 下限です
多くのゲームは動きます。ただし裏で配信ソフトやブラウザを開くと余裕がなくなります
32GB — 安心できるライン
配信・動画編集を兼ねるなら実質必須です。4K動画の編集では32GBが前提になります
64GB — 特殊な用途向け
ゲームだけが目的なら持て余します。ただし後述のとおり、公式が64GBを推奨する例外もあります

16GBで足りなくなるタイトルは実在します。当サイトで公式推奨を調べたところ、32GB以上を求める作品が5本ありました。なかでもEscape from Tarkovは公式推奨が64GBです。これは性能要求ではなくメモリリークが理由という、特殊な事情によるものです。

該当タイトルの一覧はメモリ32GBが必要なゲーム一覧にまとめました。なおマインクラフトのJava版は逆で、割り当てを増やしすぎるとかえってカクつきます(8〜10GBが最適)。搭載量と割り当て量は別の話なので、混同しないでください。

2026年の相場

数字を押さえておきます。判断の前提が変わっているためです。

DDR5 16GB×2の実売は3万9,980円から8万円台前半
2026年8月時点の調査です。同じ容量でも倍近い幅があるので、買うタイミングと製品で大きく変わります
2025年末には年初の3〜5倍まで上がっていました
AI向け需要が発端です。2026年1月のピークから半年下落しましたが、7月に反転しています
2027年前半までの高止まりが現実的な見通しです
急いでいないなら様子見という判断もありますが、劇的に下がる前提は置かないほうが安全です
この高騰はBTO各社に共通しています
特定の会社が便乗しているわけではありません。詳しくはゲーミングPCはいくら値上がりしたのかで追いかけています

BTOで上げるか、自分で足すか

ここが2026年でいちばん判断の分かれる部分です。以前この記事には「BTOの注文時に32GBへ上げるほうが安く済む」と書いていましたが、会社によって前提が違うことが分かりました。

買い方16GB→32GBの費用備考
市販の2枚組を買う39,980円〜81,180円既存の2枚は余ります
Dellのカスタマイズ82,500円市場価格の上限に近い水準です
最初から32GBのBTOを選ぶ0円フロンティアやツクモは標準構成が32GBです
会社ごとに料金がまったく違います
Dellは16GBから32GBへの変更が8万2,500円、64GBだと24万4,200円でした。一方でフロンティアやツクモは、セール品や標準構成の時点で32GB・SSD 1TBが付いてきます
だから店を選ぶ段階で決まります
「32GBにいくらかかるか」ではなく「32GBがいくらで手に入る構成はどれか」で比べてください。同じGPUでも総額が数万円動きます
自分で足すなら丸ごと入れ替えます
今挿さっている2枚に別の2枚を足すのではなく、2枚組を買って交換してください。理由は次の節です
Dellは2枚組しか選べません
16GBも32GBも64GBも、すべて2枚構成です。4枚に分けた構成が用意されていないため、空きスロットへ後から足すという買い方を前提にしにくい仕様になっています

BTOのカスタマイズ全般の考え方はBTOのカスタマイズは何を足すべきかにまとめています。

スロットが4本でも2枚が正解です

見落とされやすい部分です。マザーボードにスロットが4本あると「今は2枚、あとで2枚足そう」と考えたくなりますが、DDR5ではこれが不利になります。

4枚挿すと速度が落ちることがあります
DDR5-6000のメモリを4枚挿すと、実際には4800MHzから5200MHz程度まで落ちる場合があります。CPUのメモリコントローラの制限とマザーボードの設計によるものです
枚数を増やしても帯域は広がりません
コンシューマ向けのマザーボードは2スロットごとのデュアルチャネルなので、2枚でも4枚でも帯域幅は基本的に同じです。増えるのは容量だけです
混在させると不安定になります
メーカーや製造時期が違うメモリを混ぜると、表記どおりの速度で動かなかったり起動しなかったりします
つまり2枚組で丸ごと入れ替えるのが確実です
32GBにするなら16GB×2、64GBにするなら32GB×2。既存の2枚は予備か売却に回すのが現実的です

デュアルチャネルと枚数の見分け方

同じ16GBでも、8GB×2枚のほうが16GB×1枚より性能を発揮できます。これがデュアルチャネルです。

問題は、BTOの製品ページで枚数が括弧のなかにしか書かれていないことです。同じ型番で1枚構成と2枚構成が並んでいることもあります。ドスパラのGALLERIA XGR5M-R56-GDは、違いがメモリ1枚か2枚かだけで価格が1万5,000円離れていました。

読み方はゲーミングPCのスペック表の見方にまとめています。型番だけで判断せず、構成を開いて枚数を確認してください。

規格はDDR5が主流です

項目DDR5DDR4
位置づけ現在の主流ひと世代前・低価格帯に残る
速度高速標準的
対応最新世代のCPU・マザーボード旧世代
向いている人これから新規に組む人旧構成を流用する人

DDR5とDDR4に互換性はありません。形状も違うので物理的に挿さりません。メモリだけ単体で買うときは、マザーボードの対応規格を必ず確認してください。BTOなら噛み合った構成で売られているので心配は不要です。

なお、エントリー帯のBTOにはDDR4のモデルがまだ残っています。前世代のCPUと組み合わせた構成で、価格は下がりますが、将来の載せ替えを考えるとDDR5のほうが有利です。

速度とEXPO/XMP

速度の目安はDDR5-6000です
特にAMD Ryzen環境では影響が出やすく、この前後が定番の組み合わせになっています
EXPOとXMPは速度を出すための設定です
AMDはEXPO、IntelはXMP。BIOSで有効にしないと、表記より遅い速度で動きます
有効化を忘れると気づきません
動作はするので不具合には見えません。組んだあとや増設後は必ず確認してください
表示が半分に見えても正常です
CPU-ZでDDR5-6000が3000MHzと表示されるのは仕様です。詳しくはCPU-Zの表示の記事で扱いました
有効にすると不安定になることもあります
定格ではないため、CPUのメモリコントローラや枚数によっては通らないことがあります。ゲーム中にブルースクリーンが出るなら、まずここをオフにして切り分けてください。手順はゲーム中にブルースクリーンが出る原因にまとめました

実際の製品で見る候補

ここから紹介する製品が効くのは、すでに持っているPCのメモリを増やす場合です。新品のBTOを買うなら、前述のとおり最初から32GBの構成を選ぶほうが安く済むことがあります。

Crucial DDR5-5600 8GB×2(16GB)

DDR5-5600/2枚組/CT2K8G56C46U5

記事の基準どおり、ゲーム中心なら最初に検討するラインです。8GB×2の2枚組なのでデュアルチャネルになります。速度のプロファイル(EXPO/XMP)に対応しないぶん設定でつまずく要素が少なく、素直に挿して使いたい人向けです。

G.SKILL Trident Z5 Neo 16GB×2(32GB)

DDR5-6000 CL30-38-38-96/AMD EXPO対応/1.35V

Ryzen環境の定番にあたる、DDR5-6000のCL30です。EXPO対応なのでBIOSでプロファイルを有効にすれば表記どおりの速度で動きます。有効化を忘れると5600以下で動いてしまうため、組んだあとに必ず設定を確認してください。

CORSAIR VENGEANCE 32GB×2(64GB)

DDR5-6000 CL30/AMD EXPO・Intel XMP 3.0対応

配信や動画編集を本格的に兼ねる人、アプリを大量に開いたまま作業する人向けです。ゲームだけが目的なら、ここまでの容量は基本的に持て余します。Escape from Tarkovのように公式が64GBを推奨する例外もあります。

Crucial DDR4-3200 16GB×2(32GB)

DDR4-3200 CL22/UDIMM 288pin/CT2K16G4DFRA32A

ひと世代前のPCを延命する場合の選択肢です。DDR5とは形状も互換性も違うため、マザーボードの対応規格を必ず確認してから購入してください。DDR4環境のまま容量だけ増やせば、カクつきの解消には十分効きます。

G.SKILL Trident Z5 Neo DDR5-6000 CL30(16GB×2)

RECOMMENDED

G.SKILL Trident Z5 Neo DDR5-6000 CL30(16GB×2)

Ryzen環境の増設ならここが定番。IntelでもXMPで動作します

※価格・在庫は変動します。リンク先で最新情報をご確認ください。

用途別の目安

使い方推奨容量速度の目安
フルHDで軽めのゲーム中心16GBDDR5-5600〜
WQHD・最新ゲーム中心32GBDDR5-6000(特にRyzen)
配信・動画編集も兼ねる32GBDDR5-6000〜
Tarkovなど特殊な要求のタイトル64GB公式推奨に従う

よくある失敗

増設料金を比べずに注文する
同じ32GBにするのに、会社によって0円から8万2,500円まで差があります。GPUだけで店を決めないでください
空きスロットに2枚足す
DDR5では4枚挿しで速度が落ちることがあり、混在させると不安定にもなります。2枚組で丸ごと入れ替えてください
1枚挿しの構成を買ってしまう
デュアルチャネルにならず性能を損ねます。BTOでは枚数が括弧内にしか書かれていないので、構成を開いて確認してください
価格が高いからと8GBに落とす
2026年の主要タイトルでは足りません。ここを削ると買い替えが早まります
EXPO/XMPを有効にし忘れる
動作はするので気づきません。増設後は必ずBIOSを確認してください

よくある質問

Q.16GBと32GB、どちらを選ぶべきですか?

A.2026年なら32GBを目標にしてください。16GBでも多くのゲームは動きますが、裏で配信ソフトやブラウザを開くと余裕がなくなります。当サイトの調査では公式推奨が32GB以上のタイトルが5本あり、Escape from Tarkovに至っては公式推奨が64GBです。配信や動画編集を兼ねるなら32GBは実質必須になります。

Q.BTOで32GBに上げるのと、自分で買うのはどちらが安いですか?

A.会社によります。市販のDDR5 16GB×2は2026年8月時点で3万9,980円から8万円台前半でしたが、Dellのカスタマイズは16GBから32GBへの変更が8万2,500円でした。一方でフロンティアやツクモは標準構成の時点で32GBが付いてきます。「32GBにいくらかかるか」ではなく「32GBがいくらで手に入る構成はどれか」で比べてください。

Q.スロットが4本あるので、後から2枚足そうと思います

A.おすすめしません。DDR5-6000のメモリを4枚挿すと4800MHzから5200MHz程度まで速度が落ちる場合があります。またコンシューマ向けのマザーボードは2スロットごとのデュアルチャネルなので、4枚にしても帯域は広がりません。さらにメーカーや製造時期が違うメモリを混ぜると不安定になります。2枚組を買って丸ごと入れ替えてください。

Q.メモリを増やすとゲームは速くなりますか?

A.容量が不足している場合は、カクつきが解消されて快適になります。ただし足りている状態からさらに増やしても、フレームレート自体は基本的に上がりません。容量は「多いほど速い」ではなく「足りているか」で判断してください。

Q.2026年はメモリを買うべきですか、待つべきですか?

A.劇的に下がる前提は置かないほうが安全です。2025年末には年初の3〜5倍まで上がり、2026年1月のピークから半年下落したあと7月に反転しています。2027年前半までの高止まりが現実的な見通しとされているため、必要なら今の相場で割り切る判断も合理的です。

Q.速度(DDR5-6000など)は気にすべきですか?

A.特にRyzen環境では効きやすいので、EXPO/XMP対応品を選んでBIOSで有効化してください。有効化を忘れても動作はするため、不具合には見えません。なおCPU-ZでDDR5-6000が3000MHzと表示されるのは仕様なので、故障ではありません。

Q.マインクラフトはメモリを多く割り当てたほうがいいですか?

A.逆です。Java版は割り当てを増やしすぎるとかえってカクつくことがあり、8〜10GB程度が最適とされています。搭載量と割り当て量は別の話なので、32GB積んだから全部割り当てる、という考え方はしないでください。

Q.DDR4のPCを使っています。増設する意味はありますか?

A.あります。DDR4環境のまま容量だけ増やしても、メモリ不足によるカクつきの解消には十分効きます。ただしDDR5とは互換性がなく形状も違うため、マザーボードの対応規格を必ず確認してから購入してください。

まとめ・次に読みたい記事

メモリの選び方は、容量の基準そのものは変わっていません。16GBが下限で、32GBが安心できるライン。配信や編集を兼ねるなら32GBは実質必須です。

変わったのは経路のほうでした。同じ32GBにするのに、Dellのカスタマイズなら8万2,500円、市販の2枚組なら3万9,980円から、最初から32GBのBTOを選べば0円です。GPUと価格だけで店を決めると、ここで数万円を損します。

もうひとつ、スロットが4本あっても2枚で埋めてください。DDR5は4枚挿すと速度が落ちることがあり、帯域も広がりません。後から足すのではなく、2枚組で丸ごと入れ替えるのが確実です。

そして8GBには落とさないでください。価格が上がっているのは事実ですが、ここを削ると買い替えのサイクルが早まります。