ロジクールG(Logicool G)のラピッドトリガー対応マウス「PRO X3 SUPERSTRIKE」が、2026年10月15日に発売されました。ロジクールオンラインストア価格は32,450円で、ゲーミングマウスとしては最上位の価格帯です。初代のPRO X2 SUPERSTRIKEが出たのは同じ2026年の2月で、わずか8か月での後継機になります。X2も値下がりしたまま売られ続けているので、X2で十分なのか、3万円近く出してX3を買うべきなのか、迷う人は多いはずです。
結論から書くと、X2をすでに持っているなら買い替える必要はありません。クリックの仕組み(HITS)は、X2とハードウェアから同じだからです。一方で、これから初めてSUPERSTRIKEを買うなら、X3を選ぶほうが後悔しにくいと考えます。発売後の国内外のレビューでも、X2で不満の多かった「前が重い」重量バランスについては、大きく改善したという点で各レビューの評価がそろっており、保証期間をそろえた実売の差額は4,000円台に収まっているからです。
この記事は発売前の10月11日に公開し、発売後の10月17日に改稿しました。価格.com・Amazon・公式ストアの実売価格を保証期間(1年版・2年版)をそろえて取り直し、GAME Watchの国内レビューと海外5媒体のレビューを読み比べています。あわせて、海外レビューで「61g」と書かれている理由や、触覚フィードバックの感触についてレビュー間で評価が割れた点も扱います。
結論 X2を持っているなら見送り、新しく買うならX3
判断の分かれ目は、いまSUPERSTRIKEを持っているかどうかと、クリックの速さが勝敗に関わるゲームを遊んでいるかどうかの2点です。
- X2 SUPERSTRIKEを持っている人
- 見送ってかまいません。作動点10段階・ラピッドトリガー5段階・触覚フィードバック6段階という調整の中身は同じです。発売後のレビューでも、英Club386は「X2を持っているなら、買い替える価値のあるものはない」、ProSettings.netも「前寄りの重心が試合に影響するほど気になるのでなければ、買い替えるほどではない」と書いています。前が重い感じがどうしても気になる場合だけ検討してください。
- これからSUPERSTRIKEを買う人
- X3をすすめます。重心の改善とバッテリーの延長は毎日の使い勝手に効く変更で、同じ保証期間なら差額は4,400〜7,000円ほどです。X2はロジクールが今後も併売すると説明しており(GAME Watchによると、X2をベーシックモデル、X3をプレミアムモデルとして扱う)、予算を抑えたいならX2も十分な選択肢です。なお、米Gaming Nexusは性能がほぼ同じで安いX2を選ぶよう勧めており(評価7/10)、新規購入でもX2を推すレビューはあります。
- 白いマウスが欲しい人
- X2を選ぶことになります。X2はホワイトの1色、X3はブラックとピンクの2色で、色が重なっていません。
- 追いエイム中心のゲームや普段使いが中心の人
- どちらも不要です。クリックを速くする機能なので、Apex Legendsのようにフルオートで敵を追い続ける場面が多いゲームでは差が出にくく、3万円の価値を引き出せません(ウィングマンなど単発武器を多用するなら別です)。重量と形状で選べば1万円台で十分です。ラピッドトリガーは要らないがロジクールのPROシリーズが欲しい場合は、同時に発表された「PRO X SUPERLIGHT 2c SE」「PRO X SUPERLIGHT 2 DEX SE」(各20,460円、LIGHTFORCEスイッチ、12月17日発売予定)も候補になります。
海外の主なレビューの総評は次のとおりで、評価はおおむね高めです。英Club386は5点満点の4.5で「X3はX2が最初からそうあるべきだったもの」と評し、英TechRadarも4.5点で「X3の名にふさわしい改良がもっと欲しかったが、これまで試した中でも最高クラスのマウスの、さらに優れた版」と結論づけています。
PRO X3 SUPERSTRIKEの仕様と発売日

PRO X3 SUPERSTRIKEは2026年9月24日に発表され、10月15日に発売されました。仕様はロジクールのニュースリリースと日本の製品ページで確認しています。
- 価格
- ロジクールオンラインストア価格32,450円(税込)。10月17日時点の実売は価格.com最安29,205円、Amazon.co.jp 29,500円(詳しくは後述)
- 重量・寸法・形状
- 59g(日本版)。長さ125×幅63.5×高さ40mmで、X2と同じ寸法です。形状はPRO X SUPERLIGHT 2から続く左右対称に近い卵型です。欧州(英国を含む)版は61gで、日本版と重さが違います(後述)
- クリック
- HITS(ハプティック誘導トリガーシステム)。作動点10段階、ラピッドトリガーのリセット点5段階、触覚フィードバック6段階。サイドボタンは従来のメカニカルスイッチです
- センサー
- HERO 2(100〜48,000DPI、最大加速90G、最大速度930IPS)
- レポートレート
- 無線(LIGHTSPEED)・有線とも最大8,000Hz
- バッテリー
- 約135時間(測定時のレポートレートは公表されていません)。USB-C充電と、別売りのPOWERPLAYによる無線充電に対応
- ボタン・色・保証
- 5ボタン。ブラックとピンク。2年保証版(型番末尾MB・PE)と1年保証版(末尾MBd・PEd)があります
発売前は、日本の製品ページの仕様欄だけバッテリーが「130時間」になっていて、特長欄とニュースリリースの「135時間以上」「約135時間」と食い違っていました。10月17日に確認したところ、仕様欄も「135時間」に直っています。
X2から変わったのは5点、クリックの仕組みは同じ
X2とX3の公式仕様を並べると、変わったのは次の5点です。
- 重量と重心
- 61g→59g(日本版)。ロジクールは重心をセンサーのある中央に近づけたと説明しています。X2はGAME Watchのレビューで「若干フロントヘビー」、英KitGuruでも触覚フィードバック用の部品が前寄りにあるため前が重いと指摘されていたので、実際の不満点への対策です
- バッテリー
- 約90時間→約135時間。新チップNxLOGIで消費電力がX2より50%下がったとロジクールは説明しています
- 有線のレポートレート
- 1,000Hz→8,000Hz。無線はX2の時点で8,000Hzに対応していたので、変わったのは有線だけです。なお、8,000Hzは環境によってCPU負荷が増えてfpsが下がる場合があるので、まず1,000Hzで使い、問題がないか確かめてから上げるのが無難です
- 無線チップ
- NxLOGI(カスタムNRF54、X2はNRF52)を新たに採用し、無線の遅延と安定性を改善したとしています
- センサー
- HERO 2のままですが、最大44,000→48,000DPI、888→930IPS、88→90Gに上がりました。ProSettings.netも「ゲーム中に気づくことはない」と書いているとおり、実際に使う感度域では差を感じる場面はほぼありません
反対に、変わっていないのはクリックそのものです。作動点・ラピッドトリガー・触覚フィードバックの段階数は同じで、GameBusinessによると発表会の質疑でもロジクールの担当者が「HITSの性能自体は両製品で同じ」と答えています。GAME Watchのレビューも「HITSのハードウェアは変わっていない」としています。形状と寸法、ソールの形、5ボタンの構成も共通です。X3は「クリックが速くなった新型」ではなく、X2の弱点だった重さの配分と電池持ちを直した改良版と捉えると判断を誤りません。
なお、設定ソフトのG HUBには、HITSで従来のマウスと比べてどれだけ遅延を縮められるかを表示する「HITS遅延改善テスト」が追加されました。GAME Watchによると、この機能はX2でも使えます。
発売後のレビューでわかったこと
発売前後に公開されたレビューのうち、国内はGAME Watch(10月14日、発売前に約2週間使用)、海外はClub386、TechRadar、Tom’s Guide、ProSettings.net、Gaming Nexusを読みました。調べた範囲では、4GamerやPC Watchは10月17日時点で発表記事のみで、実機レビューは見つかりませんでした。
前寄りの重心はほぼ解消
重心の改善は、ほぼすべてのレビューが最大の変更点に挙げています。GAME Watchは、X2では素早くフリックするとフロント側の重さでマウスが振られる感覚があったが、X3ではかなり軽減され、重量バランスのクセは「ほぼ解消された印象」と書いています。重さの差は2gでも、数値以上に軽くなったように感じるそうです。ただし、従来のPROシリーズと比べると「もう少しリア側に重心があってもいい」とも付け加えています。ProSettings.netも、X2の重心のずれは多くの人が気にしていた点で、それが直ったのは大きいと評価しています。
バッテリーは公称の135時間には届かないが、充電の間隔は確実に延びた
公称値どおりに持ったというレビューはありませんでした。ただ、X2と比べたGAME WatchとClub386はどちらも充電の間隔が延びたと書いており、ほかのレビューも、充電を気にせず数日から1週間は使えたという評価です。
- GAME Watch
- 100%から使い続けて、2週間とちょっとでステータスランプが赤く光った。X2は10日に1度くらいのペースで充電していた(設定は記載なし)
- Club386
- 無線4,000Hz、DPI 1,600、作動点5、触覚とラピッドトリガー3の設定で、1時間あたり約1%減り、約100時間持つ計算。同じ条件でX2は約80時間
- TechRadar
- 公称値には届かなかったが、触覚フィードバックを強めにしても、毎日使って丸1週間は余裕で持った
- ProSettings.net
- 2,000Hz・4,000Hz、触覚3の設定で、充電を気にせず何日も使えた
- Tom's Guide
- 公称値は「最大」で、8,000Hzで使えば135時間には遠く及ばない
バッテリー駆動時間(公称値とClub386の実測)
公称値はロジクール ニュースリリース。実測推計はClub386のレビュー(無線4,000Hz、DPI 1,600、作動点5、触覚・ラピッドトリガー3)
Club386は、実際の使用での改善は公称の50%ではなく25%程度と見ています。GAME Watchの「10日→2週間ちょっと」もおよそ1.4〜1.5倍で、設定によって伸び幅は変わりますが、充電の回数が目に見えて減るのは確かです。
触覚フィードバックの感触は評価が割れた
HITSのハードウェアは同じなのに、クリックの感触については正反対の評価が出ています。
- GAME Watch
- 触覚フィードバックの感触が若干鋭くなり、振動がより鮮明に感じられるようになった。重量バランスを変えるための筐体の設計変更が影響しているのではないか、と推測している
- ProSettings.net
- X3の触覚フィードバックはX2より弱く感じた。X2で2にしていた感触に合わせるには、X3では3に上げる必要があった
鋭くなったのか弱くなったのか、どちらが正しいのかを判断する材料はありません。測定した数値ではなく、それぞれのレビュアーが手で感じた印象だからです。ただ、両者とも「X2と同じ設定値でも感触が変わった」という点では一致しています。中身のモーターが同じでも、内部の配置や筐体が変われば、指に伝わる振動は変わりえます。X2から乗り換える人は、X2の設定値をそのまま持ち込まず、6段階を一通り試して合わせ直すつもりでいてください。
海外レビューの「61g」は欧州版の重さ
海外レビューを読むと、X3の重さを「61gでX2と同じ」と書いているものがあります(Tom’s Guide)。これは誤記ではなく、販売地域によって重さが違うためです。10月17日に各国の公式ストアを確認すると、日本と米国の製品ページは59g、英国とドイツの製品ページは61gでした。ProSettings.netは、EUでは現地の規制のために軽量化がされていないと説明しています。理由について、英Club386は「欧州(英国を含む)のモデルはEUのルールに沿ってユーザーが交換できるバッテリーを備えているため」と書いていますが、ロジクールの公式な説明は見つかりませんでした。Gaming Nexusも、59gは米国版の数字だと断っています。Club386が実測した英国版は60.242gでした。
日本で買うX3は59gです。海外レビューの重量を参考にするときは、どの地域の製品を試したのかを確認してください。
- GAME Watch|PRO X3 SUPERSTRIKEレビュー
- Club386|Logitech G Pro X3 Superstrike review
- ProSettings.net|Logitech G Pro X3 SUPERSTRIKE Review
- TechRadar|Logitech G Pro X3 Superstrike review
- Tom’s Guide|Logitech G Pro X3 SuperStrike review
- Gaming Nexus|Logitech PRO X3 Superstrike Review
差額は保証期間をそろえると4,419円から6,975円
X2とX3の価格差を調べると「Amazon限定のX2なら22,525円で、X3との差は7千円」という比べ方がよく出てきます。ただ、このAmazon限定版(型番の末尾が「d」)は保証が1年の版です。X3の通常版(G-PPD-X3-STRK-MB)は2年保証なので、そのまま比べると保証期間の違う製品を並べていることになります。
10月17日に、価格.comの最安値とAmazon.co.jp(販売元・出荷元がAmazon.co.jpの出品)の価格を、保証期間をそろえて取り直したのが次のグラフです。
X3とX2の実売価格(2026年10月17日時点)
価格.comはブラック(MB)とX2(STRK)の製品ページ。X3の29,205円は7店舗中3店舗(パソコン工房・ドスパラ・PCSHOPアーク)、X2の24,786円は11店舗中5店舗が同額。Amazonはいずれも販売元・出荷元Amazon.co.jpの新品
- 2年保証版どうし(価格.com最安): X3 29,205円とX2 24,786円で、差額は4,419円
- 2年保証版どうし(Amazon): X3 29,500円とX2 25,036円で、差額は4,464円
- 1年保証版どうし(Amazon): X3 29,500円とX2 22,525円で、差額は6,975円
その後、10月25日時点ではAmazonのX2が2年保証版・Amazon限定版(1年保証)とも26,500円に上がり、X3(29,500円)との差額は3,000円に縮んでいます。X3の価格.com最安は29,205円のままでした。
ここで見落としやすいのが、X3は2年保証版と1年保証版がAmazonで同じ29,500円だという点です。しかも価格.comでは2年保証版が29,205円で買えるので、X3をあえて1年保証版で買う理由はありません。ピンクの2年保証版(G-PPD-X3-STRK-PE)も価格.comの最安は同じ29,205円です。
量販店のWeb通販(ビックカメラ.com・ソフマップ.com・コジマネット)は公式ストアと同じ32,450円ですが、10%(3,245円分)のポイントが付くため、ポイントを差し引くと実質29,205円で最安と並びます。ポイントを使う店が決まっているなら、量販店で買っても損はしません。同じ考え方でポイントを差し引くと、Amazon(1%)も実質29,205円で、X2との差額はどの店でもほぼ4,419円に収まります。
ロジクールオンラインストアは、X3が32,450円のまま(ブラックは在庫僅少の扱い)です。X2は2年保証版(G-PPD-004WL-STRK)が29,150円、1年保証版(G-PPD-004WL-STRKd)が25,175円で、発売前と変わっていません。公式ストアで買う場合、1年保証版はAmazon限定版の22,525円のほうが安く、2年保証版は価格.com最安の24,786円のほうが安くなります。
発売前の10月11日時点では、AmazonのX2は2年保証版・1年保証版とも在庫僅少の表示でしたが、10月17日時点ではどちらも「在庫あり」に戻っていました。併売の方針どおり、X2は当面なくならないと見てよさそうです。
マウスのラピッドトリガーとは何か

ふつうのマウスのボタンの下には、マイクロスイッチという小さな部品が入っています。金属の接点が触れた瞬間に「押された」、離れた瞬間に「戻った」と判定する仕組みで、判定する深さは部品で決まっていて変えられません。
SUPERSTRIKEはこのマイクロスイッチをなくし、ボタンがどこまで押し込まれているかをコイルの電磁誘導で連続的に読み取ります。一部メディアでは光学式や磁気式と紹介されていますが、公式名称(ハプティック誘導トリガーシステム)のとおり電磁誘導で読み取る方式です。押し込み量がわかるので、次の2つが設定できるようになりました。
- 作動点(アクチュエーションポイント)
- どこまで押したらクリックと判定するか。10段階で、最も浅くすると触れた程度で反応します
- ラピッドトリガー(リセット点)
- 押した状態からどれだけ戻したら「離した」と判定するか。5段階です。ボタンを底まで戻しきらなくても、少し浮かせた時点で次のクリックを受け付けられるので、連打の間隔を詰められます
考え方は、磁気式キーボードのラピッドトリガーと同じです。キーボードでは左右移動の切り返しを速くするために使われ、マウスでは単発の射撃を素早く繰り返すために使われます。キーボード側の仕組みはゲーミングキーボードの選び方で解説しています。
接点がないので、押しても機械的な「カチッ」は鳴りません。代わりに小さな振動モーターがクリック感を作っていて、その強さを6段階で変えられます。GAME WatchのX2レビューは、この感触をMacBookの感圧タッチトラックパッドに近いと表現していました。ProSettings.netも、MacBookのトラックパッドやSteam Deckに近い感触だと書いています。触覚をオフにするとほぼ無音になりますが、押した手応えもなくなります。
調べた範囲では、クリックにラピッドトリガーを載せたマウスで国内の正規流通があるのは、初版公開時(10月11日)に調べた範囲ではSUPERSTRIKEのX2とX3だけでした。海外では次の2つがあります。
- Finalmouse Starlight X: TMR(磁気抵抗)センサーでクリックを読み取る方式で、作動点の調整とラピッドトリガーに対応。38gで179ドル。2026年5月末から同社の自社サイトで販売されていますが、国内の正規代理店流通はありません(Xiaomi Today)
- Lunacy(ロシア): 磁気センサー方式の製品を2026年末にロシア国内向けに出す予定です(EAA FPS News)。日本での発売予定は発表されていません
「最大30ms速い」は指の移動距離の話
ロジクールは、SUPERSTRIKEのクリックは従来のマウスより最大30ms速いとしています。30msが出る条件は明記されていませんが、日本と英語の製品ページには「カスタムアクチュエーションポイントとリセットポイントにより」と書き添えられていて、この30msは回路の処理が速くなった分ではなく、指がボタンを押し込む距離と戻す距離を短くした分だと読み取れます。
そのため、30msに近い差が出るのは作動点をかなり浅くしたときだけです。X2を3か月使い込んだKitGuruは、30msの恩恵を得るには作動点を最も浅い設定にする必要があり、撃つ前にボタンへ軽く力をかけて構えておく癖を捨てなければならなかったと書いています。扱いやすい深さ(10段階の3)に戻すと、使い心地は良いものの命中率がはっきり上がったとは言えなかったそうです。3か月続けた反応速度テストでも、Pulsar X2 CrazyLightと比べて平均5.55ms遅い結果でした(人の反応速度を測るテストなので、マウス自体の遅延差ではありません)。
一方、電気的な遅延の差はごく小さいものです。Club386がOSLTTという計測器で同じ設定(1,000Hz、作動点3、ラピッドトリガー3)のクリック遅延を測ったところ、平均でX3が0.12ms、X2が0.31msでした。X3は確かに速くなっていますが、差は0.2ms程度です。8,000Hzでは両方とも0.02ms未満で並びます。
まとめると、クリックで稼げる時間の大部分は「作動点をどこまで浅くできるか」で決まり、X2とX3の違いはそこにほとんど関わりません。マウスから画面までの遅延全体のなかで周辺機器がどの程度を占めるかは、ゲームの入力遅延は何が効くのかで区間ごとに整理しています。
効くゲームと効かないゲーム
浅い作動点とラピッドトリガーが活きるのは、1発ずつ狙って撃つ場面です。GAME WatchはX2のレビューで、単発武器を従来のマウスより速く撃てて、タップ撃ちの精度も上がったと報告しています。KitGuruも、セミオート武器の連射が非常に速くなると評価しています。
- 効きやすい
- VALORANTやCS2のように、タップ撃ちや単発武器の撃ち合いが多いタクティカルシューター。PCの選び方はVALORANT向けゲーミングPCとCS2向けゲーミングPCで扱っています
- 効きにくい
- ボタンを押しっぱなしで敵を追い続ける、追いエイム中心のゲーム。押し始めの数msより、マウスの軽さや形状、センサーの安定のほうが効きます
- ほぼ関係ない
- MMORPGやRPG、普段の作業。クリックの深さを調整できる点は便利ですが、3万円の価値はありません。同じ予算をかけるなら、サイドボタンの多いマウスのほうが役に立ちます(Basilisk V4 Proは買いか)
チャタリングの心配はメインボタンだけ減る
マウスを長く使うと起きやすいのが、1回のクリックが2回と判定されるチャタリングです。原因はマイクロスイッチの金属接点の摩耗で、詳しくはマウスのチャタリング(ダブルクリック病)の原因と直し方で説明しています。
SUPERSTRIKEの左右メインボタンは、光学式スイッチと同じく接点を持たない方式です。接点の摩耗からチャタリングが進む、という劣化の道筋は原理的にありません。ただし、X2の発売からまだ8か月しかたっておらず、何年も使ったときに誘導センサーや振動モーターがどうなるかはまだ誰にもわかりません。
発売前は不明だったサイドボタンの方式は、GAME Watchのレビューで「カチカチとした従来式のメカニカルスイッチ」と確認できました。サイドボタンについては、ふつうのマウスと同じようにチャタリングが起きる可能性があります。GAME Watchも、ここをX3のネックに挙げ、次のモデルではサイドボタンにもHITSを載せてほしいと書いています。使い道が広がり、耐久性も上がるからという理由です。
買う前に知っておきたい弱点
- 価格
- 公式ストアで32,450円、実売でも29,000円台です。米国ではX2より20ドル高い199.99ドルになり、ProSettings.netもGaming Nexusも、改良の中身に対して値上げ幅が大きいと批判しています
- 浅い設定は誤クリックと隣り合わせ
- 作動点を浅くするほど、指を乗せただけで反応しやすくなります。最初は中くらいの深さから試して、少しずつ浅くするのが無難です
- クリック感は好みが分かれる
- 振動で作る感触なので、物理的なスイッチの手応えに慣れている人ほど違和感が出ます。前述のとおりX2とも感触が変わっているので、触覚の強さを変えて合う段階を探す時間が必要です
- サイドボタンとホイール
- サイドボタンは従来のメカニカルスイッチで、ProSettings.netは押し心地がやや柔らかすぎると評しています。ホイールも、動作に問題はないものの、クリックがやや柔らかく、ノッチの区切りがはっきりしないとして、2万円台後半のマウスとしては物足りないかもしれないとしています
- ソール
- 公式は大型PTFEソールとラウンドエッジ加工を特長に挙げていますが、ソールの形はX2と同じです。Club386はRazer DeathAdder V4 Proの標準ソールほど滑らかではなく、硬い表面のパッドでは早くすり減りそうだと書き、ProSettings.netも、ざらついた表面のパッドでは引っかかりを感じやすいとしています。一方、GAME Watchは同時発売のPRO X CONTROLとの組み合わせで、滑りと止めやすさのバランスが良いと評価しています。滑りはマウスパッドとの組み合わせで大きく変わるので、マウスパッドの選び方も参考にしてください
- DPI切り替えボタンがない
- 天面にも底面にもDPIボタンはなく、感度の変更はG HUBで行います。Tom's GuideやGaming Nexusも欠点に挙げています。Gaming Nexusは、G-Shiftとホイールクリックの組み合わせでDPIを切り替える回避策を紹介しています
調べた範囲では、10月17日時点で、ファームウェアの更新や返品が必要になるような不具合の報告は見つかりませんでした。ただし発売から2日しかたっていないので、購入後しばらくはG HUBの更新情報を確認してください。
同時に発売された、PROシリーズ初のマウスパッド「PRO X CONTROL」(400×460mm、厚さ6mm、ニット素材、公式ストア9,900円)は、Amazonでは9,000円です(10月25日時点、Amazon.co.jpの販売で「通常1〜2か月以内に発送」の表示)。GAME Watchは、上下左右どの方向に動かしても同じ感触だったと評価する一方、布製としては高額な部類で、厚みの都合でPOWERPLAY 2には対応しないと書いています。
同日発売のキーボード PRO X2 RAPID

10月15日には、磁気式キーボードの新型「PRO X2 RAPID」も発売されました。日本語配列のテンキーレスで、公式ストア価格は35,750円、色はブラック・ホワイト・ピンクの3色です。
全キーが磁気式アナログスイッチでラピッドトリガーに対応し、レポートレートは前モデルの1,000Hzから8,000Hzに上がりました。本体右上の有機ELディスプレイと調整ローラーで、作動点やラピッドトリガーをG HUBなしで変えられるのが大きな違いです。大会会場のようにソフトを入れられない環境で設定を変えたい人には意味があります。GAME Watchも、内蔵ディスプレイでラピッドトリガーを設定できる点を軸にレビューしています。磁気式キーボードをどう選ぶかは、前述のゲーミングキーボードの選び方にまとめています。
Amazonで買うなら
価格・在庫は変わりやすいので、リンク先で最新の表示を確認してください。販売元・出荷元はいずれもAmazon.co.jpで、価格と在庫は10月25日時点の表示です。
ロジクール PRO X3 SUPERSTRIKE ピンク(G-PPD-X3-STRK-PE・2年保証)
59g/125×63.5×40mm/2026年10月15日発売
これから初めてSUPERSTRIKEを買う人向けです。Amazonの価格は29,500円で、在庫ありの表示でした。ブラックの2年保証版(G-PPD-X3-STRK-MB)も同じ29,500円ですが、10月25日時点のAmazonでは「通常1〜2か月以内に発送」の表示だったため、すぐに欲しい人はピンクか、価格.comで在庫のある店(最安29,205円)を選んでください。
白が欲しい人や、価格を抑えたい人はX2を選んでください。10月25日時点で、AmazonではX2の2年保証版も1年保証のAmazon限定版も26,500円で在庫ありの表示です。10月17日時点(2年保証版25,036円、Amazon限定版22,525円)から値上がりしていて、同じ2年保証で比べたX3との差額は3,000円に縮んでいます。

RECOMMENDED
ロジクール PRO X3 SUPERSTRIKE(ピンク・2年保証)
ブラックは10月25日時点のAmazonで1〜2か月以内の発送表示でした
※価格・在庫は変動します。リンク先で最新情報をご確認ください。
同じ3万円前後で、電池を差し替えてケーブルなしで使うSteelSeriesのSensei Pro・Rival Pro(11月20日発売)もあります。ラピッドトリガーはありませんが、53g(Mini 49g)と軽く、UWBという2.4GHz帯以外の無線を使います。違いはSensei Pro・Rival Proは買いかで比べました。
発売前の記事から確定したこと
10月11日の初版で「発売後に確認する」としていた点は、次のとおり確定しました。
- 実売価格
- Amazonは予約価格の29,500円のまま、価格.comの最安は29,205円でした。X2の価格も動いておらず、保証期間をそろえた差額は2年保証版で4,419〜4,464円、1年保証版で6,975円です
- 国内の実機レビュー
- GAME Watchが、重心の改善とバッテリーの延長を実感したとレビューしています。前重心のクセは「ほぼ解消」、充電の間隔は「10日に1度」から「2週間とちょっと」に延びたとのことです
- サイドボタンの方式
- 従来のメカニカルスイッチと確認できました
- 重量
- 日本版は59g。欧州(英国を含む)版は61gで、海外レビューの重さは地域を確認して読む必要があります
- バッテリーの公称値
- 日本の製品ページの仕様欄が130時間から135時間に直り、表記のゆれは解消されました
- X2の扱い
- X2はベーシックモデルとして併売され、Amazonの在庫も戻っています
総評
良い点
- +X2で不満の多かった前寄りの重量バランスが改善し、国内外のレビューがそろって評価
- +バッテリーは公称約135時間に届かないものの、実使用でX2より25〜50%ほど長く持つ
- +2年保証版の実売が29,205円からで、保証期間をそろえたX2との差額は4,400円台
気になる点
- −クリックの仕組みと調整段階はX2と同じで、X2からの買い替え理由は弱い
- −触覚の感触がX2から変わっており、評価も割れている。設定の合わせ直しが必要
- −サイドボタンは従来のメカニカルスイッチで、DPIボタンもない。3万円近い価格のわりに細部が詰め切れていない
よくある質問
Q.PRO X3 SUPERSTRIKEとX2 SUPERSTRIKEの違いは何ですか?
A.重量が61gから59gになり重心が中央寄りになったこと(日本版)、バッテリーが約90時間から約135時間に延びたこと、有線でも8,000Hzに対応したこと、新チップNxLOGIの採用、センサーの最大値の向上の5点です。クリックの仕組み(HITS)と、作動点10段階・ラピッドトリガー5段階・触覚6段階という調整の中身は同じです。
Q.X2からX3に買い替える価値はありますか?
A.ほとんどの人には不要です。クリックの性能は同じで、発売後のレビューでもClub386やProSettings.netが、X2を持っているなら買い替えるほどではないと結論づけています。X2の前が重い感じがどうしても合わない場合だけ検討してください。
Q.PRO X3 SUPERSTRIKEの実売価格はいくらですか?
A.2026年10月17日時点で、2年保証版(ブラック・ピンク)の価格.com最安は29,205円、Amazon.co.jpは29,500円でした。公式ストアと量販店のWeb通販は32,450円ですが、量販店は10%のポイントが付くため、実質では最安と同じになります。
Q.海外レビューでPRO X3 SUPERSTRIKEが61gと書かれているのはなぜですか?
A.欧州(英国を含む)版の重さだからです。英国とドイツの公式ストアは61g、日本と米国は59gと表記しています。ProSettings.netは、EUの規制のため欧州版は軽量化されていないと説明しています。日本で買う製品は59gです。
Q.バッテリーは公称どおり135時間持ちますか?
A.公称どおり持ったというレビューはありませんでした。Club386は無線4,000Hzの設定で約100時間(X2は約80時間)と推計し、GAME Watchは2週間とちょっとで残量警告が出た(X2は10日に1度充電)と書いています。8,000Hzで使うとさらに短くなります。
Q.マウスのラピッドトリガーとは何ですか?
A.ボタンを押した状態から少し戻しただけで「離した」と判定する機能です。底まで戻しきらなくても次のクリックを受け付けるので、単発の射撃を速く繰り返せます。SUPERSTRIKEはマイクロスイッチの代わりに、押し込み量を連続で読み取る誘導センサーを使って実現しています。
Q.クリックが最大30ms速いというのは本当ですか?
A.公式は条件を明記していませんが、カスタムの作動点とリセット点によるとしており、指がボタンを押し込む距離と戻す距離が短くなる分と読めます。回路の速さの差ではありません。X2を3か月使ったKitGuruも、30msの恩恵には作動点を最も浅くする必要があったと報告し、扱いやすい深さ(10段階の3)に戻すと、命中率がはっきり上がったとは言えなかったとしています。
Q.PRO X3 SUPERSTRIKEは1年保証版と2年保証版のどちらを買えばいいですか?
A.2年保証版(型番末尾がMBまたはPE)です。10月17日時点のAmazon.co.jpでは、どちらも29,500円で価格差がなく、価格.comでは2年保証版が29,205円で買えます。
Q.PRO X3 SUPERSTRIKEに白はありますか?
A.ありません。X3はブラックとピンクの2色です。白が欲しい場合はホワイト1色のX2 SUPERSTRIKEを選ぶことになります。X2は今後も併売されます。
Q.チャタリングは起きにくいですか?
A.左右のメインボタンは金属の接点を使わない方式なので、接点の摩耗からチャタリングが進むことは原理的にありません。ただし、サイドボタンは従来のメカニカルスイッチなので、ふつうのマウスと同じようにチャタリングが起きる可能性があります。メインボタンの長期の耐久性もまだわかっていません。
まとめ・次に読みたい記事
PRO X3 SUPERSTRIKEは、クリックそのものを速くした新型ではなく、X2の前寄りの重さと電池持ちを直した改良版です。発売後のレビューでも、その2点の改善ははっきり体感できるという評価でした。X2を持っているなら見送ってかまいません。これからSUPERSTRIKEを買うなら、保証期間をそろえた差額は4,400〜7,000円ほどなので、X3の2年保証版を選ぶのが素直な選択です。ただし、効果が出るのはVALORANTやCS2のように単発の撃ち合いが多いゲームに限られます。そうでなければ、ゲーミングマウスの選び方で重さと形状から選び、G304 X SUPERLIGHTのような1万円台の軽量マウスにするほうが満足度は高いはずです。



