推奨スペックを満たすPCを買った。それなのにゲームが起動しない。

これは性能の問題ではありません。スペック表とは別のところに、満たさないと遊べない条件があるタイトルがあります。しかもその条件は、GPUやCPUの型番を見ても分かりません。

当サイトのタイトル別記事を横断して、性能以外の理由で弾かれるケースを整理しました。この秋の新作にも直撃します。

Secure BootとTPM 2.0がないと起動しない

近年のアンチチートは、OSの深いところまで踏み込んで動きます。そのため、PC側のセキュリティ機能が有効になっていることを前提にするタイトルが出てきました。

Battlefield 6
EA公式が明言しているとおり、UEFI Secure BootとTPM 2.0が有効でないとゲームが起動しません。任意の設定ではなく必須要件です
Call of Duty: Modern Warfare 4
スペック表には載っていませんが、TPM 2.0とSecure Bootが必須です。10月23日発売なので、いま準備しておく必要があります

どちらもBIOS(UEFI)側の設定です。自作やBTOで古い設定のまま使っていると、Secure Bootが無効のままということがあります。性能とはまったく無関係な項目なので、スペック表をいくら見ても気づけません。

確認方法はWindowsの「システム情報」で、セキュアブートの状態とTPMのバージョンを見るのが早いです。手順はWindows 11へのアップグレード手順でも扱っています。

逆に、機能を切らないと起動しないタイトルもあります

面白いことに、要求の向きが正反対のタイトルがあります。

NARAKA: BLADEPOINT
Windows 11のメモリ整合性(HVCI/KMCI、コア分離の機能)が有効だと、アンチチートのNeacProtectが正常に動作せず起動できません。「please disable HVCI_KMCI」というエラーが出ます

対処は、Windowsの設定から「コア分離」を開いてメモリ整合性をオフにし、再起動することです。ただしメモリ整合性はマルウェア対策の機能なので、無効化すると保護レベルは下がります。

なお、Battlefield 6が求めるSecure BootとTPM 2.0は、NARAKAが無効化を求めるメモリ整合性とは別の機能です。前者はUEFI側、後者はWindows側の設定なので、両方を同時に満たすこと自体は可能です。ただし「セキュリティ機能はすべて有効にしておけばよい」という話ではない、ということは知っておいてください。

ただし2026年6月以降、この判断に一つ材料が増えました。VALORANTとLeague of LegendsのVanguardは、Windows 11 25H2でセキュアブート・TPM 2.0・VBS・メモリ整合性・IOMMUをすべて有効にした環境なら、常駐をやめてゲーム起動中だけ動かせるようになりました。つまりNARAKAのために切った設定は、この新方式の条件と衝突します。詳細はゲーム中にブルースクリーンが出る原因のアンチチートの節で扱いました。

ちなみにメモリ整合性を切ると、fpsが平均5%・最大15%以上改善するという報告もあります。この点はゲームのカクつき・画面のズレを直す設定で扱いました。

Windows 11必須のタイトルが増えています

Windows 10のままでも当面は遊べる、という認識の方は注意が必要です。

エースコンバット8(10月2日発売)
Windows 11必須です。後述するレイトレ要件と合わせて、条件が二重にかかります
鬼武者 Way of the Sword(9月4日発売)
Windows 11のみ対応で、Windows 10では動作しません
SILENT HILL: Townfall(9月24日発売)
最低要件の時点でWindows 11のみが対象です。レイトレーシングやCPUの要求は軽めなのに、OSだけが唯一絶対の関門になっています
FINAL FANTASY RESONANCE(10月22日発売)
推奨GPUが最低と同じGTX 1650という異例の軽さなのに、唯一の関門がWindows 11必須です
メタルギアソリッド マスターコレクション Vol.2
最小・推奨のいずれもWindows 11(64bit)専用と案内されており、Windows 10は非対応です

FINAL FANTASY RESONANCEのケースが象徴的です。GPUはGTX 1650で足りるのに、OSだけが理由で遊べないということが起こります。性能を基準に判断していると見落とします。同じ構図はSILENT HILL: Townfallにも当てはまります。推奨GPUのRTX 3080は現行のRTX 5060 Ti 16GBとほぼ同格で、レイトレーシング必須の記載もない比較的手が届きやすいタイトルですが、Windows 11だけは最低要件の時点で必須です。

Windows 10の今後についてはWindows 10でゲームはいつまで遊べる?にまとめました。

GPUの機能そのものが必須というケース

性能ではなく、機能の有無で弾かれることもあります。

エースコンバット8
ハードウェアレイトレーシングが必須のため、レイトレに対応していないGPUでは起動しません。GTX 1080 Tiのような当時のハイエンドでも動きません
Gears of War: E-Day(10月6日発売)
こちらも最低構成からハードウェアレイトレーシングが必須です。エースコンバット8と同じ条件で、GTX 10シリーズやRX 5000シリーズ以前は性能に関係なく対象外になります

これは分かりにくい落とし穴です。GTX 1080 Tiは今でもそれなりに戦えるGPUですが、レイトレーシング用のハードウェアを持っていません。性能が足りているかどうかではなく、対応しているかどうかで決まります。GTX 16シリーズ以前をお使いの方は、今後こうしたタイトルが増えると考えておいてください。この秋はエースコンバット8(10月2日)とGears of War: E-Day(10月6日)が4日違いで発売されるため、同じ条件で2本まとめて足切りされる方も出てきそうです。詳しい動作環境はGears of War: E-Day向けゲーミングPCガイドにまとめました。

SteamOSや携帯機では動かないタイトル

Steam DeckやSteam Machineを検討している方向けの注意点です。

カーネル型アンチチートを採用したタイトル
SteamOSはLinuxなので、Windowsのカーネルに深く入り込むタイプのアンチチートが動作しません。近年の競技系オンラインゲームは、これで起動できないものがほとんどです
MARVEL Tōkon: Fighting Souls
Easy Anti-CheatがSteamOS上でうまく機能せず、Steam Deckでは起動できないと報告されています

携帯機やSteam Machineを選ぶ場合、遊びたいタイトルが動くかどうかを先に確認してください。携帯ゲーミングPCの選び方Steam Machineは買いかでも扱っています。

買う前・遊ぶ前の確認手順

1. 動作環境にOSのバージョンが書かれているか見る
Windows 11必須なら、そこで判断が決まります。GPUの型番より先に確認してください
2. Secure BootとTPM 2.0の状態を確認する
Windowsの「システム情報」で確認できます。対戦系のタイトルを遊ぶなら、有効にしておくのが無難です
3. レイトレ対応GPUかどうかを確認する
GTX 16シリーズ以前は非対応です。RTXやRadeon RX 6000以降なら対応しています
4. 携帯機やSteamOSなら、動作報告を探す
アンチチートの都合で動かないことがあります。スペックの問題ではありません
5. 起動しないときはエラーメッセージを読む
NARAKAの「please disable HVCI_KMCI」のように、原因がそのまま書かれていることがあります

なお、公式の推奨スペック自体にも読み方のコツがあります。公式推奨スペックが当てにならない理由にまとめました。

よくある質問

Q.スペックを満たしているのに起動しないのはなぜですか?

A.性能以外の条件を満たしていない可能性があります。Battlefield 6はSecure BootとTPM 2.0が有効でないと起動しませんし、エースコンバット8はハードウェアレイトレーシング非対応のGPUでは起動しません。Windows 11必須のタイトルも増えています。

Q.Secure BootとTPM 2.0はどう確認しますか?

A.Windowsの「システム情報」を開くと、セキュアブートの状態とTPMのバージョンが確認できます。無効になっている場合はBIOS(UEFI)の設定から有効にします。性能とは無関係な項目なので、スペック表では判断できません。

Q.セキュリティ機能は有効にしておけばいいですか?

A.タイトルによって逆になります。NARAKA: BLADEPOINTはWindows 11のメモリ整合性が有効だとアンチチートが動作せず起動できません。ただしこれはWindows側の機能で、Battlefield 6が求めるUEFI側のSecure BootやTPM 2.0とは別のものです。両方を満たすこと自体は可能です。

Q.GTX 1080 Tiでエースコンバット8は遊べますか?

A.遊べません。ハードウェアレイトレーシングが必須のためです。GTX 1080 Tiは性能としては今でも通用しますが、レイトレ用のハードウェアを持っていないため起動しません。GTX 16シリーズ以前も同様です。

Q.Windows 10のままだと何が遊べなくなりますか?

A.この秋の新作では、鬼武者 Way of the Sword(9月4日)、SILENT HILL: Townfall(9月24日)、エースコンバット8(10月2日)、FINAL FANTASY RESONANCE(10月22日)がWindows 11必須です。特にFINAL FANTASY RESONANCEは推奨GPUがGTX 1650と軽いのに、OSだけが関門になります。

Q.Steam Deckで遊べないゲームはありますか?

A.あります。SteamOSはLinuxのため、Windowsのカーネルに深く入り込むタイプのアンチチートが動作しません。近年の競技系オンラインゲームには起動できないものが多く、MARVEL TōkonもSteam Deckでは起動できないと報告されています。

まとめ・次に読みたい記事

PCの性能が足りていても、条件を満たしていなければ遊べません。しかもその条件は、スペック表を見ても分からないところにあります。

Battlefield 6とCall of Duty: Modern Warfare 4はSecure BootとTPM 2.0が必須。エースコンバット8はハードウェアレイトレ必須で、GTX 1080 Tiのような高性能GPUでも起動しません。逆にNARAKA: BLADEPOINTは、Windows 11のメモリ整合性を切らないと起動しません。

そしてこの秋の新作は、鬼武者、SILENT HILL: Townfall、エースコンバット8、FINAL FANTASY RESONANCEの4本がWindows 11必須です。Windows 10のまま買い替えを先送りしている方は、9月から10月にかけて遊べないタイトルが増えていきます。

確認の順番は、OSのバージョン、Secure BootとTPM、レイトレ対応GPUかどうか、の3つです。性能の検討より前に、ここを見てください。